Ankerのモバイルプロジェクター「Nebula Mars 3」の明るさやバッテリー持ちなど、その実力を実機レビュー

Nebula-Mars-3_アイキャッチ

Anker

モバイルプロジェクター

Nebula Mars 3

最近はテレビも50型60型と大型化し、14-5年前と比べて大画面での視聴環境もだいぶ庶民にとって手が届きやすい価格帯になってきた。その結果、昔ほど「大画面が欲しければプロジェクター」という空気でもなくなったように思う。 加えてプロジェクターといえば「高価な割に機能は少なく設置に手間がかかり、暗い所でしか使えない」という旧来のイメージを持ったままの人も多いのではないだろうか。

恥ずかしながら筆者もその一人だったのだが、先日最新のプロジェクターに触れたことで認識を大きく覆されることになった。 PCやデッキに接続して使っていた”あの頃のプロジェクター”は、遥か昔のモノだったのである。

今回は先日ニュース記事でもお伝えしたアンカー・ジャパンの新型モバイルプロジェクター「Nebula Mars 3」を一般発売前にお借りすることができたので、そんな最新プロジェクターの進化についてお届けしようと思う。

まずは製品の概要、及び外観からだ。

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アンカー・ジャパン 最新のモバイルプロジェクター「Nebula Mars 3」

「Nebula Mars 3」はAnkerグループのスマートプロジェクターブランド「Nebula(ネビュラ)」から、2023年7月10日(月)に発表、および予約販売が開始されたハイエンドなモバイルプロジェクター。 最大200インチの大画面を投影できる上、世界最長※1という最大約5時間の連続投影を可能とし、40W出力のスピーカーと防滴&落下耐性を備えたまさにハイエンドな製品だ。価格は149,900円(税込)。

Nebula Mars 3_製品イメージ

「Nebula Mars 3」の外観

「Nebula Mars 3」の外観だが、高性能かつ高機能な製品とあってなかなか大きい。容積的には旧来の設置型プロジェクターと同じくらいだろうか。しかしこの中にプロジェクターとしてのユニットに加え、2.0chのスピーカー、Android TV 11.0用の基板、バッテリーなどが組み込まれている事を考えると、技術の進化を感じて感慨深い。

前面にはスライド式のカバーが設けられており、下にスライドすることで投影用のレンズが露出する。このカバーは本体の電源スイッチも兼ねているため、カバーを開けると自動で電源が入り投影面へのオートフォーカスが始まる。

Nebula Mars 3_正面カバー開け
電源が入った際に点灯する赤いレンズ枠がカッコいい。
併せて投影用レンズも点灯しはじめるため、筆者のようにしげしげと眺めているとかなり眩しい思いをすることになる。開ける際には方向などをよく確認してからにするといいだろう。

またモバイルプロジェクターと表現される通り、天面には大きなハンドルが備えられている。本体重量に合わせて太めに作られているため、しっかりと握りこめるので重量感を感じにくい。

Nebula Mars 3_天面
加えてこのハンドルは本体のコントローラーも兼ねており、簡単な操作を行うことができる。
Nebula Mars 3_天面ハンドルアップ
画像右側からBluetoothボタン、音量マイナス、音量プラス、戻る、4方向のスティック兼押し込みで確定ボタンだ。基本操作はこちらでも可能だが、メインとしてはスマートフォンや付属のリモコンを使用するといいだろう。

お次は底面。

側面もそうだが、こちらにも放熱用のスリットが多く設けられている。目立つ部分としては、本体のみで設置した際に角度をつけられる黒いスタンドの存在と、中央付近に設けられた三脚用のねじ穴だろう。

本体重量が約4.5kgのため対応できる三脚の種類は限られるが、組み合わせることで本体直置きよりもフレキシブルに角度や向きを調整できるようになる。

Nebula Mars 3_底面
画像中央付近の銀色のパーツが三脚用のねじ穴。右手側の黒いパーツがスタンドだ。
Nebula Mars 3_スタンド展開
スタンドを立ち上げることで、10度ほど角度をつけることができる。
スタンドは本体中央側からレンズ側に向けて蝶番のように開くのだが、本体を支えるためか、少し動きが固めになっているため注意してほしい。

「Nebula Mars 3」の付属品

同梱されていた付属品は本体充電用のACアダプターと電源ケーブル、リモコン、およびリモコン用の単4乾電池2本。プロジェクターとしての付属品としては一般的なラインアップだろう。

Nebula Mars 3_付属品
左からACアダプター、電源ケーブル(3pin アース付き)、リモコン+単四乾電池。
電池が初めからついているのは意外とうれしい。
Nebula Mars 3_リモコン
本体リモコンのアップ。
電源やオートフォーカスボタン、マイク入力などが行えるので、基本的な操作はこちらから行うことになる。
初回起動時にペアリングを行うことで、その後は壁など大きな遮蔽物が無ければ、本体に向けずとも操作が可能。
マイク入力ができるなど、動画サービスを検索する際には重宝する。

さて外観とそれに付随する機構面をご紹介したところで、お次は待ちに待った機能面のターンだ。

明るいプロジェクターを手軽に設置できる「Nebula Mars 3」

まずは最も重要なプロジェクターとしての機能から。

1,000ANSIルーメンの明るさと投影能力をチェック

「Nebula Mars 3」の投影能力は最大投影サイズ200インチ、明るさ1,000ANSIルーメン、解像度はフルHD(1920 × 1080 px)となっている。

ここで注目したいのが単位の違い。1,000ルーメンではなく1,000 ANSI ルーメンなのである。

この単位の重要なところは
・測定環境が決まっているため、純粋に数値として明るさの大小を比較できる。
・投影面の明るさを元に数値が決まる。
という2点で「投影面の明るさを元に」という特性上、従来のルーメンに対して低い数値が出ることが多い。

しかし実際には1,000ANSIルーメンの製品が2,000ルーメン表記の製品よりも明るいなんてことも多々あるので、単位の違いには十分注意してほしい。

Nebula Mars 3_発色チェック

上記のイメージは直射日光が指すほどではないものの、晴天の日中15時ごろカーテンを完全に開け放った状態で撮影したものをベースとしている。黒に近い色味は壁に溶けてしまっているものの、白に近い色味の部分はくっきりと描写されていることがお分かりいただけるかと思う。

ニュースでお届けした際には「カーテンを閉めた屋内などであれば日中でも十分視聴が可能な明るさ(だろう)」と記載していたが、蓋を開けてみればカーテン無しでも十分な明るさがあった。

元の動画は下記から確認できるので、ぜひ手元のモニターやスマートフォンと比べてみてほしい。
https://youtu.be/k9l884mXUDw
https://youtu.be/0UJPBfWBv8Q

加えて本製品はHDR(ハイダイナミックレンジ)の規格の一つHDR10に対応しているため、一般的なプロジェクターやモニターよりも明るさの幅を広く表現することができる。その辺りも明るい環境で十分な視認性を発揮している要因だろう。

テストでは日中カーテン全開の中という、ある種”意地の悪い”環境で確認したのだが、「まっくろ(#000000)」「まっしろ(#FFFFFF)」のみ飽和したものの、その間は十分に表示できている。テスト環境を考えれば大健闘と言っていいはずだ。

Nebula Mars 3_階調をチェック
日中カーテン全開・直射日光のささない壁にて階調をテスト。壁からは約90cmの位置に設置した。
投影した画像の階調は#000000~#FFFFFFまで17段階あるが、周囲が明るいこともあって黒の#000000・#101010の間と、白の#F0F0F0・#FFFFFFの間は境界線を読み取れなくなっている。

また予想通りというべきか、フルHDの解像度もそこまで描写のキレイさを損なうものではなかった。
プロジェクターにおいてはその仕組み上、ある程度の解像感の低下は避けられないため、モニターほど解像度は重要ではないのだが、古い会議室向け製品のような800 × 600 pxレベルとはさすがに一線を画す。家庭用プロジェクターとしては十分な解像感を得ることができた。

これなら細部はもちろん、映画の字幕なども問題なく読めるはずだ。

Nebula Mars 3_文字の視認性チェック
同じく日中カーテン全開・直射日光のささない壁にて。配置も同様に約90cmの位置に設置した。
onesuite内のとある記事をフルHD表示したものだが、文字の視認性についても全く問題ない。

手軽な設置を可能にする自動台形補正とオートフォーカス

プロジェクターの設置において最も手間がかかるのは、設置場所の決定と焦点の調整だろう。 従来のプロジェクターといえば、まず投影面に対して垂直に設置をし、それから手動で焦点を調整する必要があった。また少し角度がついてしまえば映像が台形に歪み、少し動かせば像がぼやけてしまうため、一度設置を決めた後はなるべく動かしたくないという人が多かっただろう。

そんな悩みを1発で解決してくれるのが、この自動台形補正とオートフォーカス機能だ。
これまでも上下方向の台形補正は一般的だったが、最新のモバイルプロジェクターでは左右方向でも補正してくれる。もちろん”自動”でだ。

Nebula Mars 3_補正中画面
台形補正およびオートフォーカス中はこの画面が投影され、早ければ1-2秒ほどで補正および合焦が完了する。

本体の電源を入れる、もしくは本体を動かすと自動で写真のような表示に切り替わり、台形補正とフォーカスの調整が始まる。かかる時間は平均して体感5秒ほどとかなり早く、先述した”従来のプロジェクターあるあるな手間”からは完全に開放されると言っていい。 またテスト時は一切発生しなかったが、万が一補正が上手くいかなかった際も、本体メニューから手動調整が行えるので安心だ。

編集部では、せっかくなので自動台形補正が最大何度までカバーできるかのテストを行った。 テスト条件は壁から約30㎝距離をとり、徐々に左右に動かす形で検証している。
その結果、約30°程度を境に自動補正が効かなくなることが分かった。 しかし補正する都合上、正面から移した時と比べ投影面積が小さくなるため、スペースに余裕があるのであればなるべく正面を心掛けた方が良さそうだ。

併せて本体を徐々に近づける形でオートフォーカス最短焦点距離もテストしてみたのだが、その結果壁からかなり近く、約36cm程度までは寄ることができるようだ。
流石にこんな距離で使う方もそう居ないとは思うが、これも一つの参考データとしてお出ししておく。

Nebula Mars 3_オートフォーカスの最短距離
オートフォーカスの最短焦点距離はおおよそ36.5cm。投影時のサイズは横23㎝×縦13cmだ。
メーカー公式としては投影サイズ80インチ時に2.10mが最も短い距離になるが、このテストを見るにおそらく1m程度のもっと短い距離でも十分に投影可能だろう。
Nebula Mars 3_最短焦点距離
ちなみに、マニュアルフォーカスを使用すればさらに短い約12㎝程度の距離でも合焦させることができた。

最大5時間の大容量バッテリーで思う存分楽しめる。

本製品最大の特徴である、最大5時間の連続再生を実現する大容量バッテリー。本体サイズおよび重量の遠因でもあるわけだが、連続5時間という数値は世界最長※1だという。

おそらく特定の計測環境があると思うが、編集部でも現実的な使用を想定した形でテストを行ってみた。テスト環境としては、輝度最大かつ最大音量の25%、Wi-Fiに接続を行った状態で動画サービスを使用し映画を連続再生しながら、満充電からバッテリー切れによるシャットダウンまでの時間を計測した形だ。

Nebula Mars 3_動作時間テスト
Amazon Prime Videoを使用し、新劇場版エヴァンゲリヲン 4部作をどこまで視聴できるのかチャレンジしてみた。

その結果公証値に限りなく近い、4時間54分でシャットダウンとなった。もちろん測定環境の影響は無視できないが、限りなく実使用に近しいシチュエーションかと思う。世界最長※1という稼働時間に偽りなしだ。

アクション映画などにオススメな高出力スピーカー

40Wのスピーカー出力を検証

本製品の大きな特徴の一つに40Wの高出力スピーカーを備えていることが挙げられるだろう。

一般的に同価格帯のテレビなどで搭載されているスピーカーの出力が15W~20Wであることを考えると、倍近い出力を備えている計算になる。 編集部でテスト行った際には6畳ほどの部屋で鳴らしてみたのだが、100段階の音量調整のうち30ほどで十分な音量に感じられた。

Nebula Mars 3_音量テスト
音量は0~100まで1単位で調整できる。
ちなみに音量30で十分というのは「これ以上はご近所トラブルに発展するだろうな」というラインである。 仮に40Wが最大音量の100だとすれば音量30は一般的なテレビの音量60相当。常に音量60以上まで上げているご家庭は殆ど無いだろう。

これだけの出力があれば、宅内で視聴する分にはまず音量不足を感じることはないはずだ。またキャンプなど野外に持ち出した場合においても十分と言える。加えて本体には3.5mmのオーディオ出力を備えているため、より没入感を高めたい方は外部のオーディオユニットと接続することもできる。

用途を広げる各種インターフェースと機能

最後にはなるが「Nebula Mars 3」に備えられたインターフェースと、それに付随する機能についても触れておこう。

本体背面に各種インターフェースと周囲を照らすためのライトが備えられており、インターフェース類には防滴用と思われるカバーを開けることでアクセスが可能だ。
特徴的なポイントとしては、HDMI入力やUSB Type-A/ Cのポートだろうか。

「Nebula Mars 3」にはAndroid TV 11.0が搭載されているため、本体だけでもYouTubeやAmazon Prime Video、Netflix※2、Disney+、Hulu、U-NEXTなどの動画サービスが使用できるが、HDMI入力によって自宅でレコーダーに接続したり、PCからの出力なども投影できる。

またUSB ポートについてはちょっと珍しい仕様で「Nebula Mars 3」の充電用ではなく、スマートフォンなど別のデバイスを充電可能な”出力”ポートを兼ねている。大容量のバッテリーを備えている本製品ならではの機能と言えるだろう。 もちろんUSB入力としての機能も存在するので、USBメモリーやHDD/ SSD などを接続することで、保存しておいた音楽、ビデオ、画像を再生することもできる。

Nebula Mars 3_インターフェース類
左から本体の充電用コネクタ、USB Type-C入出力、USB Type-A入出力、HDMI入力、3.5mmのオーディオ出力、下側の白いエリアが周囲を照らすためのライトだ。
USB Type-Cは15Wまで、USB Type-Aでは10Wまでの出力に対応する。
USB入力で再生可能なファイルについて詳しく知りたい方は、下記のリンク先下部、ソフトウェアの項目を参照してほしい。
https://www.ankerjapan.com/products/d2333

また背部に搭載されたライトは、アウトドアなどで持ち出した際にランタンの代わりとして活用できる。色味としては電球色に近いオレンジ色になっており、周囲を「明るく照らす」というよりは「暖かく照らす」といった印象。

明るさは3段階で変えられ、1段階目は本体の位置がわかる常夜灯程度。2段階目である程度周囲が照らせるランタン代わりになり、3段階目は電球色の照明程度の明るさだ。ライトの向きが地面に対してほぼ水平になるため「本製品があれば他の照明は不要」というほどではないが、最大時には十分な明るさがあった。

「Nebula Mars 3」はインドアからアウトドアまで1台で完結する死角なしのモバイルプロジェクター

見ていただいた通り「Nebula Mars 3」はハイエンドなモバイルプロジェクターとして、製品単体でも性能が高く、そこに使い勝手の良さと拡張性の高さを兼ね備えた死角のない製品であった。

宅内をベースに設置が簡単な本格おうちシネマとして使うも良し、キャンプやバーベキューなどに持ち出して大画面で盛り上がるも良しだ。あまり地上波などのテレビ放送を見ない方であれば、いっそ動画サービス用のテレビ代わりに購入しても良いかもしれない。

多くの場合ハイエンドな製品というのは、腰を据えて使う上級者向けのものになりやすい。しかし「Nebula Mars 3」においては話が別で、この製品はその死角の無さによってプロジェクターをより身近なものへと変えてしまう。

一家に一台プロジェクターという日もそう遠くないのかもしれない。

※1 世界最長再生時間Android TV搭載モバイルプロジェクター。2023年6月時点 Anker調べ。AndroidおよびAndroid TVは、Google LLCの商標。
※2 Nebula Playアプリを使用することで視聴可能。Netflix広告付きベーシックプランには対応していない。

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Nebula Mars 3

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